解決事例(相続)

解決事例(相続)6:遺産分割協議(相続人が行方不明)

解決事例(相続)

■依頼主 60代 女性

■相談内容
先日祖母が亡くなったが,祖母の土地が相続の対象になっている。自分も代襲相続人として相続人の地位にある。他にも相続人が多数いると思われるが,その方々が亡くなっているのか分からないし,行方がわからない。遺産分割協議をしようにも連絡がとれず,先に進まない。相続人を明らかにして,遺産分割協議がしたい。

■結果
相続人の調査をしたところ,既に亡くなった方もいたが,誰が相続人か確定することができた。ただ,その中の一人とは連絡がとれず,どこにいるのか分からない。
そこで,家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをして,不在者財産管理人が選任され,その不在者財産管理人と遺産分割協議をすることになり,無事協議が纏まった。

■コメント
被相続人が亡くなると,遺言がない限り,相続人同士で遺産分割協議をすることになります。遺産分割協議はすべての相続人の同意がないと無効になりますので,一部の相続人だけで勝手に遺産分割協議を進めるわけにはいきません。
そうはいっても,必ずしも相続人の居場所がすべて分かるとは限りません。戸籍調査,戸籍の附票あるいは住民票調査等によって,相続人が誰か,どこに住んでいるのか,だいたいは特定できるのですが,稀に相続人がどこに住んでいるかわからず,連絡が取れない場合があります。その場合に遺産分割協議が進まないと権利関係が確定せず,他の相続人に不利益が生じます。
そこで,その連絡がつかない方を不在者として,その不在者の財産管理をする者を不在者財産管理人として裁判所によって決めてもらえば,その不在者財産管理人がその不在者の財産の管理処分ができるようになり,遺産分割協議を進めていくことができるのです。
なお,不在者財産管理人選任の申立てにあたっては,その不在者とされる方の戸籍や戸籍の附票,また不在者の事実を証明する資料等が必要とされていますし,申立ての理由を申立書に書きますので,一定の調査は必要になります。不在者の最後の住所地とされる場所の現地調査をする場合もありますし,関係者へのヒアリングをする場合もあります。また,その不在者の事実を証明する資料としては,例えば,家出人届出受理証明書や不在者に手紙を出したときに「あて所が不明」として返送されてきたもの等です。