解決事例(刑事・少年事件)

解決事例(少年事件)10:強盗⇒窃盗,暴行(少年院送致を回避するために)

解決事例(刑事・少年事件)

■依頼主 19歳男性

■相談内容

夜道で泥酔した男性のポケットから財布を抜き取った。強盗ということで逮捕された。

自分はすでに少年院に3回入っており,前回少年院を出てからまだ半年程度である。正直今回も少年院だと思っているが,どうにかならないか。

■結果

強盗の非行事実を,窃盗と暴行に変更させたうえで,少年が立ち直るためには,少年院送致をすべきではないことを主張した結果,試験観察を経て,保護観察処分を得た。

■コメント

本件の少年は,すでに少年院に3回入っており,かつ,前回少年院を退院してから,わずか半年後に再度逮捕されたという状況でした。そこで,まずは逮捕勾留期間中に,少年から詳細に事情を聞き,検察官と交渉をしたうえで,逮捕勾留の被疑事実であった強盗をより軽い窃盗,暴行に認定替えしてもらいました。その後,観護措置期間中には,家庭裁判所の調査官と協議を重ね,すでに少年院に3回入っているにもかかわらず今回非行をしていること,退院後の職場では,少年の評価が高く,少年院に戻すのではなく,周りの大人がサポート体制を整える中で,社会の中で更生を図ることが少年の更生の近道であることを主張したところ,裁判所において,試験観察処分を得ることができました。

この試験観察処分というのは,いわば保護観察処分と少年院送致の中間的な処分で,最終的な処分を決定する前に,試験的に,社会内での少年の様子を見てみましょう,という処分です。

少年には,この試験観察中の行動が,最終的に,保護観察処分になるか少年院送致になるかの分かれ目であることを十分に説明しました。少年自身も,その期待に応え,約3か月の試験観察期間を経て,最終的に,保護観察処分を得ることができました。本件は,少年院にすでに3回行っているということを逆手にとり,最終的に保護観察処分を得たという珍しい事案です。

家庭裁判所送致後には,少年ごとに調査官と呼ばれる専門家が就き,少年の更生,処分に対する意見を述べますが,今回の件は,担当の調査官がかなり思い切った判断をしてくれたことが大きかったと思います。