解決事例(不動産問題)
解決事例(不動産問題)2:建物明渡請求
■依頼主:50代男性
■相談内容
所有するマンションを貸していたが、借主が家賃を払ってくれない。3か月滞納が続いたので、家賃の支払いの催促および滞納家賃を支払ってくれない場合賃貸借契約を解除する旨の内容証明(通知)を出したが、相手が不在のため、通知が返ってきた。
どうも荷物はまだあるようである。
■結果
賃借人が不在のため、公示送達という方法により、建物明渡請求および滞納賃料の請求で訴訟提起をした。
裁判所で公示送達が認められ、相手方は欠席。原告(依頼者)の主張通りの請求が認められた。この勝訴判決をもとに、強制執行を実施し、明渡しが完了した。
■コメント
借主が家賃を払ってくれない場合、具体的な事案にもよるのですが、だいたい3ヶ月程度の滞納があれば、判決で賃貸借契約の解除が認められるようです。
ただ、本件で問題となったのは、相手と連絡が取れないことです。
内容証明で解除通知を出すにしても相手が受け取らなければ解除の意思表示はできません。そのため訴え提起時の訴状の中で、解除の意思表示を行います。
とはいえ、相手が不在の場合は、訴状も相手に届きません。そうはいっても相手が受け取らないからといって裁判ができないというのも不合理ですから、例外的に公示送達という方法が認められています。
公示送達というのは裁判所の掲示板に2週間程度掲示すれば送達の効力が生じるのです。はっきりいって普通誰も見ませんので、被告が知らない間に裁判が進められることになります。そうはいっても簡単に公示送達が認められると、例えば被告と連絡がとれるにもかかわらず公示送達を利用される等、原告が悪用して勝手に裁判を進め勝訴する可能性もありますので、一定の要件が必要ですし、裁判所から原告側に被告の所在の調査を求められます。調査報告の形で裁判所に提出するのですが、例えば、住民票を調査したり、現地調査をします。被告に通知を出しても届かない事実や被告に電話しても電話にでないことを報告したり、現地の表札や郵便受け・建物の外観の状況の確認、また、近隣へのヒアリング等を実施する場合もあります。
なお、相手と連絡がとれない、あるいは不在が明らかということであっても、勝手に建物に入って、動産の処分は許されませんので、ご注意ください。法的手続きが必要です。